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「テンペスト」阿仁谷ユイジ [阿仁谷ユイジ]

「テンペスト」阿仁谷ユイジ
講談社 季刊ITAN連載中

男性が滅亡した未来の世界。女性同士で生殖出来、人類存続のため、出産は義務。
生物学者であり産婦人科医の両親(どちらも女性)に愛情たっぷりに育てられたは、
地味で大人しく、ちょっぴりロマンチスト。姫と同級生のは、美しく華やかで優秀で・・・
活発な女の子、男性が滅亡したのは男性のおかした罪の歴史にあり、男性を嫌悪している。
二人は親友同士であり、皇は姫に自分の子を産ませたいと考え、将来とパートナーとして意識をしている。姫も同じ気持ちあるが、姫には誰にも言えない秘密があった。姫は滅亡したはずの男性だった。

あらすじ書いていて、どこまで書いていいやら悩んだよ。
同性同士の生殖には限界があり、男性滅亡のみならず、やがて女性も・・・人類滅亡を回避するには異性との生殖が唯一の道。
ここまで言うと、最後は皇と姫が・・・と、オチがみえてしまうが、
すでに既刊4巻でかなり複雑な事になっている。
本当に収拾がつくのか?はなはだ疑問。

阿仁谷ユイジはBLエロ漫画で、結構人気漫画家らしい。
ちなみわたしも阿仁谷ユイジとの出会いは、この作家の一番人気作品(たぶん)
こちら↓

ミスターコンビニエンス (MARBLE COMICS)

ミスターコンビニエンス (MARBLE COMICS)

  • 作者: 阿仁谷 ユイジ
  • 出版社/メーカー: ソフトライン 東京漫画社
  • 発売日: 2008/07/16
  • メディア: コミック



なんだろう?このマンガの魅力はまた後日書きますが、ノンケコンビニ店長がゲイの元店員にドハマリするまでの話なのですが、エロいし、可愛いし、笑えるし、切ないし・・・博多弁(?)萌え〜。絵は決して達者じゃないのですが、ツボリました。まあなかなか特殊な分野ですから、そうそう誰にでもすすめられませんけどね。
作家買いしようと調べていくと、この作家、ジャケがいい。コミックスのデザインがめっちゃ気に入って、つい欲しくなってしまいますが、上記の作品以外は微妙です。
でもジャケ買い本として紹介↓



完璧な飼育 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)

完璧な飼育 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)

  • 作者: 阿仁谷 ユイジ
  • 出版社/メーカー: リブレ出版
  • 発売日: 2012/10/01
  • メディア: コミック



ミクとネオ 上巻 (EDGE COMIX)

ミクとネオ 上巻 (EDGE COMIX)

  • 作者: 阿仁谷 ユイジ
  • 出版社/メーカー: 茜新社
  • 発売日: 2013/05/31
  • メディア: コミック



ミクとネオ 下巻 (EDGE COMIX)

ミクとネオ 下巻 (EDGE COMIX)

  • 作者: 阿仁谷 ユイジ
  • 出版社/メーカー: 茜新社
  • 発売日: 2013/05/31
  • メディア: コミック



話はもどりますが「テンペスト」
面白いので期待していますが、あまり複雑にしてしまって大丈夫?とやや心配です。
姫のマイノリティの恐怖と、皇との困難な恋路を軸にして、生殖の問題はスパイス程度に扱ってた方がまとめやすかったかもな〜と思います。
しかし、ここまで来たら最後まで突っ走ってほしいものです。

最近の新規参入の出版社、ゲーム系やBL専門レーベルなどは、
設定倒れの見切り発車で尻すぼみが多い気がします。
そもそも作家に書きこなす実力が無いとも言えますが、出版社がこんな所でいいだろうと低いクオリティでOKを出して、根気よく作家を育てていない気もします。
ITANという漫画雑誌はわたしは見た事も聞いた事もありませんが、
講談社は大手ですから、いい加減な仕事はしないと思いたい。

阿仁谷ユイジも、ここで踏ん張って、名作に仕上げてほしいと期待しています。
BLエロ作家で終わってほしくないな〜。折角なんとも言えない魅力的な世界を描ける人なんだから・・・[グッド(上向き矢印)]
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「はみだしっ子」三原順 [三原順]

「はみだしっ子」三原順
白泉社 花とゆめに1975〜81年掲載


昭和のマンガの傑作。
難解で読みにくさったらないし、重いテーマだけど、他に同じような作品は見当たらず、マンガ史に残るものと言って過言ではないと思う作品です。
作者はみうらじゅんでも、三原順子でもなく(笑)・・・三原順(みはらじゅん)。42歳で亡くなっている。

先日、文庫版を友人Tちゃんに借りて、この作品を30年ぶりに再読した。
読んでいたのはおそらく中学生のころ。遥か昔で記憶が曖昧になっていたが、再読してみて、全編に渡り細部まで記憶がよみがえったことから、当時非常に熱中して読んだのだろう。
小学5、6年生〜中学2、3年生まで、「花とゆめ」を購読していたので、雑誌で読み、それ以前の話はコミックスで読んだと思う。
しかし、最終回の終わり方が15、6才のわたしには理解出来ず、ドタマに来て、愛蔵コミックスを全部破棄してしまった。以来30年、記憶の隅においやられて、再読するまでほぼ忘れてしまっていた作品。

内容は、グレアム、アンジー、サニー、マックスという4人の男の子が、様々な事情で親に捨てられたり、親と決別して家出し放浪生活をする話。最初はグレアム、アンジーが7歳、サニー、マックスが5歳。マジ子供です。
後半はクレーマー家に4人一緒に養子となり、親や定住地を得ての話となる。最終的にはグレアムとアンジーは日本で言う中学生位になっていると思うけど、酒やタバコ、バイクに乗ったり、アルバイトしたりしているので、なんだか大人っぽい。
大人達と比べると、背格好はいかにもな少年体型なので、中学生くらいなんだろうなと思う。

あらすじと登場人物紹介を書こうと思ったけど、あまりに複雑でめんどうなので、ウキペディアでも参考にして下さい。スミマセン。

当時、グレアムとアンジーと同年代だったわたしは、思春期まっただ中の潔癖に生きよう思いつめたり、親や学校のしがらみの重苦しさの中、彼らの友人4人だけの自由な生き方に憧れていたように思う。

でも、30年振りに読んでみると、重く、深い。とても10代の子供が理解出来るシロモノではなかった。
大人になって読むと確かに描かれた話の本当の意味や深さを理解出来るけど、
当時「はみだしっ子」の読者は10代の少女たち、彼女達は彼らと一緒にまさにリアルタイムに悩み、傷つき、苦しみ、答えを探していて、共感していたのかもしれない。

表に見えているものが、違う側面からみたら、まったく違うものに見えたりする。
自己を主張しすぎれば、誰かが傷つき、誰かを気遣いすぎれば自己が葬られる。
立場が変わっただけで、全く別の価値観を持つようになる。
集団と個、表層と深層、ルール、依存と自立などなど、
社会や人間関係の問題点を掘り下げて、設定、エピソード、登場人物、台詞、舞台・・・そして、思考を言葉と絵で具現化して、表現されている。

「難解なテーマなのでわかりやすく」という編集者のリクエストに作者が応えるために、この膨大な言葉の表現手法をとったと言われている。
「この字の多さはマンガじゃねえ〜!!!」と途中で放り出したくなる凄まじさではある。
しかし、そもそも表現しようとしてるテーマ自体が表現の難しいものであり、それをここまで掘り下げ、徹底的に分析し、ここまで説明出来ているのは素晴らしいと思う。ある意味、わかりやすい位かもしれないさえ思う。

この作品のもう一つの魅力は登場人物のキャラクターだと思う。
話の内容がここまで深くなくても充分成り立つ位の魅力的なキャラが多く、絵も美しい。

昔は美形キャラでジョークばっかり言ってるアンジーが好きだったけど、
今読むと、アンジーって、超繊細。こんなに優しい奴だったんだな〜と、昔とは別の意味で好きになりました。
サニーとマックスはそれぞれ問題はあるけど、結構生き強い。それなりに成長していて、安心感がある。家出時、あまりに幼かったせいか? グレアムとアンジーに大切に育てられ、クレーマーの養父母にバトンタッチされ、あんまりひねくれずに済んだのかもしれない。

しかし、4人の中で、一番大人で一番賢く、責任感があり、一番気配りの出来る一見優等生のグレアムが、実は一番危ういと今回はじめて発見しました。一番やっかいな奴だ。結果、一番陰気でヒネクレテて、狂気を抱えていて・・・
4人で放浪している間、ず〜と親代わり兄がわりでいた分、その役割を演じて行き過ぎたのか?長男長女が陥りやすいアレだね。役目を終えると「自分て一体何?」ってなっちゃうアレよ。ある日ぷっつんしちゃうアレ。笑

最終回は中学生のわたしには「何?これ?わかんない!!!もっとちゃんとした決着してよ!」と、腹が立つものでした。ヒステリー起こして、愛蔵書を全部ポイした。
今大人になって読むと、ここからがグレアムの人生のスタートなんじゃないか?と感じました。
罰を受けようと思ったのに受けられず、死のうと思っても死にきれず。

あきらめて、生きる事にした。

そういう風に言うと、何だか暗いだけど、諦めた時に、はじめて生きられるって事ってあると思う。
30年経って、やっとわたしの「はみだしっ子」が完結した感じがしました。

「奴らが消えた夜」のアンジーの作法の話。「クリスマスローズの咲く頃」のアンジー馬鹿息子話。「愛しのオフィーリア」のアンジーがフーちゃんになついてる話。「プルーカラー」でパムの気まずさをアンジーが慰めるのとか好きです。最終回あたりで、アンジーがフーちゃんから「1年分の期待」を前借りしてるとこもいい!!!
って、どんだけアンジーが好きなのよって話よね。えへへ
パムとジャックも、ロナルドもいいキャラよね。ヒネクレてて、繊細で、そばに居たらめんどくさそーなアンジーもしっかり家族の一員になってしまったものねえ。



はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 文庫



はみだしっ子 (第2巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第2巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 文庫



はみだしっ子 (第3巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第3巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 文庫



はみだしっ子 (第4巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第4巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫



はみだしっ子 (第5巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第5巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫



はみだしっ子 (第6巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第6巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 三原 順
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫


[右斜め上]わたしが友人に借りた文庫版はこの表紙ではなかったです。念のため。

あと、感心するのはさ〜。 裁判、競馬とか、なかなか興味なければ知り得ない世界を、10代の女の子相手のマンガにすげ〜ちゃんと書いていること。下手な小説より上等です。


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LaLa 白泉社 [マンガ雑誌]

LaLa

白泉社から出版された少女漫画雑誌(多分中高生向け)
前回紹介した「プチフラワー」の前、時期はもしかしたら被っていたかもしれません。
1982〜85年位かな?(中学後半〜高校時代)
確かその前は「花とゆめ」白泉社を購読していて、その流れでこの漫画雑誌へ移行したように思います。
男性執筆陣が結構いる「花とゆめ」に比べて、より女性向けの傾向が強い感じ。ベテラン作家より若手の作家起用していた感がつよかったように思う。

この雑誌でもっとも有名な作品は「綿の国星」大島弓子だと思うが、わたしはこの作品がどうしても読みにくくて好きではなかった。わたしが求めていたまんがより、やや文学的過ぎたのか?ほとんど読み飛ばしてました笑。

主な執筆陣:
山岸凉子「日出処の天子」、成田美名子「エイリアン通り」「CIPHER」、樹なつみ「朱鷺色三角」、吉田秋生「桜の園」、木原敏江「摩利と新吾」など
中でも購読中にデビューした清水玲子、玖保キリコ「シニカル・ヒステリー・アワー」の作品の斬新さはワクワクしたものでした。清水玲子の描く世界観は独特で、衝撃でした。絵も恐ろしく美しかったです。しかし、時折設定が複雑過ぎでわからなくなり、そんなで、その後は読み続けていないですけどね。

あれ〜先日、「プチフラワー」の所で紹介した森川久美の「南京路に花吹雪」はLaLaだ! 同時に購読していたので、混乱? あっ、でも続編を「プチフラワー」に掲載していたのだから・・・へええ、出版社を超えて、作品が移ったりしてるですね。はじめて気がつきました。
話には関係ないけど、20歳頃中国へ旅行に行って、上海の南京路に立って、きゃっきゃっ姉とはしゃいだ記憶があります。笑

この雑誌での印象は成田美名子です。[ぴかぴか(新しい)]
可愛らしい少女漫画らしい絵柄で、きれいでしたね。男のキャラもあまり男性っぽくなくて、中学生くらいには受け入れ安かったのかもしれませんね。
のちに成田美名子の描く男の子に対して、違和感を持つようになってから、徐々に遠ざかりました。
きっとリアルに感じられないお年頃になったからなんでしょうかね。

わたしの中では、LaLaは、文学作品にもとれるしっかりした作品が多かったプチフラワーに比べて、軽く読めるちょっぴりおしゃれな印象の少女漫画雑誌でした。
しかし、毎月楽しみに読んでいたはずなのに、雑誌の形態やイメージ、表紙など、なんだか少しも印象も残っていなくて、ある意味本当に軽い読み物だったんかもしれません。

まあ、他の少女漫画誌に比べとどちらかと言えばアングラ系サブカル系で、新鮮さもあったし、作品もレベルが高かったと思います。扱ってる作品もノーマルなラブコメは少なかった・・・そもそもわたしはそういうのが好きだったみたいです。

「日出処の天子」、「櫻の園」という名作もLaLa掲載だったのですね。今日調べていて・・・そうだったのか?と、気がつきました。
雑誌で読んでいた印象がなく、いづれも後々になってコミックスで購入しました。読んでいた時期に掲載していたのですから、読んでいたと思うし、後の購入したので、きっと面白かったという印象はあったはずですが・・・今は昔、霧の彼方です。
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プチフラワー 小学館 [マンガ雑誌]

今現在はコミックスの購入が中心ですが、
以前は漫画雑誌を購読していた時代もありました。
思い出してみると様々なマンガ雑誌を読んできたな〜と。

当時も現在もこれ以上のマンガ雑誌は無かったなと思うベスト

プチフラワー

小学館で出版された少女漫画誌(対象は中高生以上、否もっと上かな?内容的には・・・自分は高校生だったけど)。創刊は1980年で、隔月刊だったが、1084〜87年の間だけ、月刊誌となった。現在は月刊フラワーズに引き継がれている。

わたしが購読していたのはこの月刊誌時代(1984〜88年)の少し前から読み始め、隔月刊に戻って購読をやめました。
プチフラワーの全盛時代をバッチリ読んだことになります。
実は30歳位まで、このプチフラワーを一冊残らず雑誌の形で保存していたのですが、あまりのかさばりように、我慢出来ず処分。
貴重品だったのに。今なら高く売れたかも・・・と非常に後悔しております。泣

執筆陣は
竹宮恵子「風と木の詩」、萩尾望都「メッシュ」、吉田秋生「河よりも長くゆるやかに」、木原敏江「とりかえばや異聞」「鵺」、山岸涼子「ダフネー」「キメィラ」、佐藤史生「夢見る惑星」「ワン・ゼロ」、岡野玲子「ファンシーダンス」、森川久美「南京路に花吹雪」、秋里和国「眠れる森の美男」、ささやななえ「化粧曼荼羅」、夢野一子、名香智子、大島弓子、波津彬子、森脇真末美、倉多江美、坂田靖子などなど

ちょっとあげただけでも、少女マンガファンには鼻血ものです。
吉田秋生が表紙を飾った回数も半端無いし、あ〜あやっぱとっとけばよかったな〜。[もうやだ~(悲しい顔)]

この執筆陣なので、普通の少女マンガ(単純なラブコメ)は全くなかった。
従来の少女マンガの内容とは逸脱したものが中心でした。わたしって昔っから屈折してたのね〜うん十年たった今もあんまり変わってないわ。
同性愛を扱ったもの、不思議な話、歴史物、SF、ホラーと色々あって、しっかりしたストーリーのものが多かったしレベルもこの時代では最強だったと思います。
しかし、その割に自分の周りにはこの雑誌を購読している人間が少なく、今思うと,高校生はもっとお気楽で軽いものを好んでいたのかもしれないですね。わたしが当時思っていたより対象年齢は上だったのかもしれませんね。

「ファンシーダンス」なんて、現代の修行僧の話だし、「ワン・ゼロ」はコンピューターと宗教の話、木原敏江のこの頃の作品は現在宝塚の舞台の原作になっている、「南京路に花吹雪」は歴史物だし・・・あの時代としては視点が新しかったと思います。
「ワン・ゼロ」なんて、現代のいろいろな状況を予言しているような事物も出て来て、すごいなと思います。この作品については、またいづれ・・・




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「河よりも長くゆるやかに」吉田秋生 [吉田秋生]

BLを2冊紹介したら、こんな作品を思い出しました。

1話目はJUNEに掲載されたんだよね。
2話目からはプチフラワーでの掲載です。
(あれっ?ちゃんと見たら、プチフラワー連載途中にJUNEで単発読切掲載だったみたいね。今日初めて知りました。ふ〜ん)

作者の吉田秋生が「男性なのでは?」とか、「男子校出身なのでは?」という噂が立つ程の
男子校の男子高校生の生態をリアリティに描いているみたいで、結構男性からの支持が高かった作品です。

「河よりも長くゆるやかに」吉田秋生
1983年JUNE9月号に1話目掲載 1983〜1985年プチフラワー掲載


河よりも長くゆるやかに (1) (PFコミックス)

河よりも長くゆるやかに (1) (PFコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 単行本



河よりも長くゆるやかに (2) (PFコミックス)

河よりも長くゆるやかに (2) (PFコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1985/02
  • メディア: 単行本



屈折してて、悪もするけど、真面目で、おあちゃめで、繊細だけど、しぶとくて、スケベで・・・

舞台はおそらく神奈川県の米軍基地(横須賀か厚木か・・・)の近く、男子高(進学校)かな。

中一までは、バスケに打ち込む優等生だったが、突然、父親が女と家族を捨てて出て行った。母は死に、姉は父親へのあてつけに水商売へ、主人公の能代季邦(のしろとしくに)にとっては青天の霹靂だったが、母や姉はずっとその事で苦しんでいたのを知って、のうのうと平和に生きて来た自分に罪悪感を持っていたり、一方で出て行った父親を母や姉のように恨みきる事も出来ない。

久保田深雪(くぼたみゆき♂)は、父親は悪徳高利貸しで、そのお陰で、深雪もとっばちりを受ける事がある。しかし、そんなことではめげずに、したたかに生きている。結構イケメン、女装も似合って、本人もまんざらでもない。

他、能代の幼なじみ秋男君や、色っぽいけど凄みのある幾世姉さん。ガールフレンドのみどりちゃん。順子。男子校の同級生達。米軍基地の軍人などなど・・・

能代季邦と周囲の人間達が繰り広げる80年代性少年シリアス&ギャグ青春ストーリー。

ハッキリ言って思いっきり下ネタたっぷりです。
でも、なんだかしんみりしちゃうのは、吉田秋生の表現力によるものかな?何か大きな事件が起る訳でもない。なんだか途中っぽい終わり方だし。
能代季邦の高校生活を切り取り、短編形式で綴ったもの。ひとつひとつの話に映画や歌謡曲のタイトル、CMのコピーなどのもじったタイトルがついている。例えば「愛と青春の朝ピーッち」とか(笑)。
服装もギャグも色々昭和です。1980年代に高校生活を過ごしたわたしにはツボる箇所満載。
当時はえっち〜って激しく思ったけど、今読むとなんだか微笑ましいし、懐かしいです。
どうなんだろう?今の男子高校生が読んでも共感するのかな?案外変わっていないのかもしれませんね。

しかし、今思うと吉田秋生のマンガの設定って、同じパターンが繰り返し使われているんだな〜と思いました。
能代季邦は「海街diary」の四姉妹を彷彿とさせるし、「ラヴァーズ・キス」の藤井朋章のようでもある。2巻目に登場する立花薫(♂)は「BANANA FISH」の奥村英二の原形のようだ。
吉田秋生ののちの名作の元ネタ探ししてもおもしろかもしれません。[わーい(嬉しい顔)]

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「どうしても触れたくない」ヨネダコウ [ヨネダコウ]

BLマンガを・・・もう一冊紹介。

「どうしても触れたくない」ヨネダコウ
2007〜2008年CRAFT掲載


どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

  • 作者: ヨネダ コウ
  • 出版社/メーカー: 大洋図書
  • 発売日: 2008/09/01
  • メディア: コミック




一言で言うと「惜しい!」作品。

嶋は新しい会社へ出社した日、二日酔いの男とエレベーターで一緒になる。
酒臭いは、(風呂も入っていないから)いろいろ臭い・・・第一印象最悪の男は
新しい上司の外川だった。
無遠慮でとぼけているようだが、頼りになり、さりげない優しさもある外川。
ゲイである嶋は外川に惹かれながらも、過去の恋愛で傷つき、一歩を踏み出す事が出来ない。かといって離れる事も出来ない。
一方外川にも壮絶な過去があり、家族へのあこがれを持つ彼に、嶋は複雑な想いでいる。
二人の恋愛模様です。

人物の描き方もうまい。キャラも表情もいい。
台詞も一コマ一コマの構図もセンスがいい。

何より、ストーリーはよかった。
過去の傷に向き合えず、自身で触れないようにそっと目をそらして過ごしているが、
外川との関係が深くなる程、傷を思い出し、時々嶋が身を固くするのが切ない。
結局、嶋はそこから逃げ出してしまうのですが・・・
タイトルの「どうしても触れたくない」は嶋自身の心情に思う。
外川はすべてを知ってもなお関係を進めようとしているのに・・・
説明的ではないが、細やかな心情が描かれていて、心温まるいい物語でした。

が、しかし!
この作品,BLの分野じゃ評価が高い一方で「伝わって来ない」「わかりづらい」と批判の声も多い。

原因はマンガらしい表現方法があまりとられていないせいだと思いますよ。
説明的でない分、全体の視覚的な効果でもっとしっかり伝えた方がいいと思いました。

コマ割りとか、背景で表す心情表現とか、スクリーントーンの多用しすぎとか・・・そういうものだと思うのです。(専門的な事はわかりませんけどね。)

1コマ1コマは綺麗で構図もよく、センスを感じるが、引いて全体を眺めると、単調で、一目でわかる視覚的な情感みたいなものが、薄いのです。
1コマの絵を、1枚づつ見て、読んで行けば、それなりに感じるものがあるが、パラパラめくって読むと何が言いたいのか?わからなくなってしまうのです。

ヨネダコウ作家は同人誌界では有名人のようです。

まあ、同人誌で有名なら、経済的に困らないだろうから、いいのかな?こんなもんで。
BL専門誌というのは小学館や集英社といった大手出版社ではないと思うので、きっと編集者のレベルもあまりよくないのかもしれません。だってこんな明確なウィークポイントは編集者が教えてやればいいじゃん!と思うし、もしかしたら、小さな出版社だと、ページ数が増えても困るから、コマ割りは細かく分割して、なるべく少ないページで収まるようにしているのか?

なんてぐるぐる考えて納得しようとしてみるけど、
魅力的で、センスや才能を充分持っていて、成長幅もありそうなのに、本当に惜しいと思います。

残念です。

とはいっても、わたしの大好きな吉田秋生もデビューして20年位は、マンガらしい表現が上手に出来ない作家でしたが、「BANANA FISH」や「YASHA夜叉」あたりから、急激に上手になってきたから、まあ、今後よくなるかもしれないな〜と期待はしています。ガンバレ![グッド(上向き矢印)]
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「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」水城せとな [水城せとな]

BLって読みますか? 
わたしはマンガの受け手としては、雑食のため読みます。
同性愛にもエ○にも抵抗はないです。大体、オタクの端くれやってたら、一度は通りますよね。

わたしの時代だと、「アナザーカントリー」とか「モーリス」とか・・・そういう映画観たし、マンガだと「風と木の詩」「トーマの心臓」「日出ずる処の天子」「エロイカより愛をこめて」とか・・・年がばれる。笑
ベルバラだって、男として育てられた女の子なんてのも、性倒錯のはしりだし、少女マンガの世界では結構当たり前に存在する世界。
嫌いではないです。

しかし、「同性愛」とか「少年愛」とか言ってた時代と違い、「BL」などという少々親しみやすい言い方になってからは、少女マンガの一分野、一設定という感じでなく、専門誌も沢山あり、そういうものを特別好む読者も増えているよう。しかし、実態は一般商業誌でやっていける程のちゃんと描ける作家は少なく、残念ながら同人誌の延長上としての存在でしか無いように感じます。

というか!
例えば昔は、JUNE(1970年後半に創刊の女性向け同性愛マンガ、小説の雑誌。現在も存在するが大分趣が違う)とかには、竹宮恵子が表紙描いたり、中島梓(栗本薫)とかも記事かいてたりして。一般誌で一流の人が描いてたわけですよ。中にはそういうの専門に描いてた人もいるけど、別にエ○なしでも、読者の心をちゃんとつかめる作品を描ける人たちが、そっちでも描くって感じだったのに。それが今のBL専門の作家はレベルはひどすぎると感じています。
(中にはちゃんとした作家も中にはいると思うけどね。クオリティの高いマンガがあるなら、教えてほしい。)。

前置き長かったけど、これは凄いぞ!と思ったのが、この作品[黒ハート]
「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」
2004〜2008年にNIGHTY judy、judy、モバフラに掲載。

窮鼠はチーズの夢を見る (フラワーコミックスアルファ)

窮鼠はチーズの夢を見る (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 水城 せとな
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/05/08
  • メディア: コミック




俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)

俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 水城 せとな
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/05/08
  • メディア: コミック


厳密に言うとBLというジャンルではないのかな?
というのは作者の水城せとなは、少女漫画家である事と、掲載雑誌は「Judy」というレディースコミック誌。本屋に行けば、普通に少女マンガコーナーに置いてありますしね。
但し内容は男同士の恋愛模様。BL愛好者達からも評価が高い。わたしにとってこれはBLの数少ない名作と思っています。

妻帯者の恭一は浮気調査を妻から依頼されたという大学の後輩今が瀬と再会する。浮気をネタに男同士の関係を迫られ・・・。という話なんだけど・・・
男同士の関係も具体的で詳細に描かれているし、心象表現も深く掘り下げ、読んでいて共感と嫌悪感とで、ぐらぐら揺さぶられます。

愛とは、恋とは、セ○クスとは、暮らし、伴侶とは・・・考えさせられました。
異性であれば、ハナから別の生き物なので、うやむやなままでも成り立つのに、同性であるがゆえの共感が時に心地よく、時に残酷にえぐり、傷を深くします。

この恋愛を通して、主人公は成長して行きますが、相手は駄目になってく感じ。
こうなると、どうしても主人公に責任とってもらいたくなってしまいます。
お互いに、底までトコトン掘り下げ、むき出しのエゴのぶつけ合い・・・途中では、どこに終着点があるのか不安になりました。とりあえずの収束をむかえ、終わります。

ここまで読むと、読んでない人はおびえてしまうかもしれないけれど、読み終わると不思議と清々しさを感じる作品です。
広く読んでもらいたい作品です。男性にも。
あくまで女性作家の描いたフィクションですから、同性同士の恋愛として、どこまでリアリティがあるのかは知りませんが、リアルに感じ、面白かったです。不思議と女性心理が描かれているようにも思えます。

水城せとなは、1993年デビュー。わたしがマンガから離れていた頃に出て来た作家みたいですね。だから、最近まで知らなかったです。
他「放課後保健室」「失恋ショコラティエ」も読んでいます。こちらは少女マンガですが、なかなかの才能です。
深層心理を引きずり出し、ある種残酷なえぐいマンガかもしれませんが、絵がきれいなのと、台詞が洒脱で、ギャグテイストがちりばめられていて、かなり達者な描き手だと思います。

今、一押しの漫画家です[黒ハート]
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「TO-Y(トーイ)」上條敦士 [上條敦士]

1985〜87年週刊少年サンデー掲載。

TO-Y(トーイ)こと、藤井冬威(高校生)が主人公。
パンクロックバンドのボーカルで、天性の音楽センスとルックスを持ち合わせている。
デビューするも、本来やりたかった音楽性は否定され、
アイドルのように扱われたり、スキャンダルばかりが先行して・・・

テーマはシリアスな音楽青春ストーリー

個性豊かなでスタイリッシュな登場人物が当時のリアルな新宿、渋谷、池袋を闊歩し、
バンドブームの色々なエピソードになぞられていて、わたし自身のテリトリーともリンクしていたため、

時代や自分たちの生きる街角が、重なって、昨日わたしが座っていたガードレールに、マンガの中でTO-Yが座っている。みたいな・・・

それまでのマンガではリアルな街の風景をそのまま使う事はあまりなかったように思う。
スティーブンキングの手法というのか?
実際あるブランド名を出したり、実際ある店やビルが描かれていたり・・・そういう事で、その中に自分自身が入り込める新しいやり方だった気がします。
今は割と当たり前に使われる手法ですけどね。

もうひとつ、
このマンガの輝きを放つポイントは、所々にちりばめられたナンセンスギャグだ。
電車の中で読んでると、つい吹き出し、恥ずかしい思いを何度したことか!

まず、TO-Yのライバル役の哀川陽司は、あきらかに吉川晃司をモチーフにしていて、
バリバリにカッコつけてる彼を、冷やかして、揚げ足をとっているようにさえ、
思えるほどの描きっぷりなのだ。(のちに作者と吉川晃司は仲良くなって、アルバムのジャケットのイラストを依頼してるので、吉川晃司って器でかいなと思う)
とにかく、TO-Yと陽司のやりとりがもうおかしくっておかしくて。

他、
TO-Yのおっかけのニアは、吉川晃司の映画「テイク・イット・イージー」のつみきみほがモチーフかな?と思われるボーイッシュな女の子。

TO-Yのいとこでぶりっこアイドルの園子は、本名はヒデローという。男みたいな名前だ。
アイドルしてる時とメイクやキャラががらりと変わってしまうので、TO-Yと一緒にいてもアイドルの園子だとは気がつかれなかったりする。TO-Yとヒデローは恋人同士。
TO-Yにつきまとうニアをうざがっているが、ヒデローとニアはいいコンビだったりもする。

昔のバンドメンバーなど、登場人物は個性派ぞろい。

この作者の描く女性キャラはTO-Yに代表される男性キャラに比べて、美しく繊細に描写されていて、魅力的だ。後で聞いた所に寄ると、女性キャラだけ、違う人が描いているとのこと。優秀なアシスタントという話もあったが、二人で上條敦士という話も聞いたことがある。


しかし、このコミックを全巻所有していたはずだが、現在は行方不明。
大学時代、友人同士でマンガを貸し借りし、その内どっかへ行ってしまったのだ。
そういうわたしは誰のだかわからない杉浦日向子のマンガが手元にある・・・これ返すから、「TO-Y(トーイ)」を返してくれ! そうそう、今思い出したが、「風呂上がりの夜空に」という大好きなマンガも行方不明だ。誰か〜かえして〜


TO-Y (1)

TO-Y (1)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1985/10
  • メディア: 新書



TO-Y 2 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 2 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1985/12
  • メディア: 新書



TO-Y 3 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 3 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/02
  • メディア: 新書



TO-Y 4 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 4 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/04
  • メディア: 新書



TO-Y 5 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 5 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/07
  • メディア: 新書



TO-Y 6 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 6 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/10
  • メディア: 新書



TO-Y 7 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 7 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 単行本



TO-Y 8 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 8 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 単行本



TO-Y 9 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 9 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/05
  • メディア: 単行本



TO-Y 10 (少年サンデーコミックス)

TO-Y 10 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 上條 淳士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 新書



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「蝉時雨のやむ頃 海街diary1」吉田秋生 [吉田秋生]

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/04/26
  • メディア: コミック
吉田秋生の最新のシリーズ。2007年発行。


これまた、今日読み返して、泣いてしまった。
すずが泣く所で、もう耐えられず、うくっって、声まででちゃったよ。

鎌倉に住む三姉妹。15年前に母と自分たちを捨てて出て行った父親の訃報。
再々婚先の山形へ、お葬式に出席するため出かける。そこで、父親が出て行った時一緒だった女性の娘、異母妹すずに出会う。
15年前に出て行った父親の思い出が少ない次女と三女は、ピンとこないくて、悲しみも湧かない。長女は母の苦しみを共にしていたため、恨む気持ちが残っている。だが、当の母親はすぐに再婚し、三姉妹を置いて出ていってしまっていた。
すずの母親はすでに亡くなっていて、頼りない義母と幼い弟のもとで気丈に振るまい、涙を見せず、佇んでいるが・・・

人にはそれぞれの事情があって、一概に白黒つけられない。
性格や器、環境や人生経験もあって、一様ではない。
やりきれない思いを飲み込んで、生きている。

自分にも人にも厳しいしっかり者の長女幸が、すずの気持ちを推し量った言葉を口にした時、すずの押さえていたきた気持ちが決壊する。

この二人は似てる。長女の悲しさなのか?どうしても役割を演じちゃう。もろもろの感情を押し殺したまま、がんばっちゃう。

泣きましたよ。わたしは次女なんで、いつ何時も自分の感情を優先してしまうんで、「ああ、姉ちゃん!色々ごめん。」という気持にもなったりして・・・笑

この後、三姉妹はすずを引き取って、四姉妹となって、鎌倉で一緒に暮らすようになる。このシリーズは、その鎌倉での生活の四姉妹にまつわる人間模様を描いた物語です。
人生どうしようもないことばかり、思うようにいかなくて、やるせないんだけど、懸命に思いやり、たくましく生きて行く時間は、時には笑いあり、時には涙ありで、なんだか読み終わると、切なくも暖かい気持ちになります。


お葬式に行く前日、佳乃に朋章が
「葬式って結構修羅場だからさ。」「そいつがどう生きて来たか?ダイレクトにでちゃう場だから」

幸ネエの言葉
「死にゆく人と向き合うのは、とてもエネルギーのいることなの」「許容量が少ないからといって、それを責めるのはやはり酷なのよ」

佳乃さんはマトモな人だから、マトモでない自分はみじめになるから。と、朋章にふられるのとことか、

ドッキーとする台詞やシーンがあって、「そうそう」とうなづいてみたり、「なんだかな〜」としんみりしたり・・・ほんと!良く出来てます。
みんなに読んでもらいたい作品だな〜。


次女佳乃の彼氏・朋章、すずの友達の風太の家族は、この作品の以前に出ている「ラヴァーズ・キス」にも出てくる登場人物。
朋章の背負っているものは、この「ラヴァーズ・キス」で出てくるので、そちらも合わせて読むとより深く読み込めます。でも、単独で読んでも問題なしです。「ラヴァーズ・キス」については、また後日。

蛇足:「海街」という言葉は鎌倉が海に近いからだと思うけど、作詞家・松本隆が自作の詞の世界を架空の街として表現していて、その街は「風街(かざまち)」です。吉田秋生さんは知っててつけたのかな?偶然かな? 
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ごめんなさい。 [はじめに]

「萌え」とか「裏」とかのキーワードで、ここへ来てしまった方、申し訳ない。

haseのメインブログに対して、このブログは「裏」かな?という程度で、
内容は過激なものやHな表現は出てこないと思います。
期待してた方、ごめんね。

普通のマンガ感想ブログです
タグ:マンガ
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