SSブログ

「どうしても触れたくない」ヨネダコウ [ヨネダコウ]

BLマンガを・・・もう一冊紹介。

「どうしても触れたくない」ヨネダコウ
2007〜2008年CRAFT掲載


どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

  • 作者: ヨネダ コウ
  • 出版社/メーカー: 大洋図書
  • 発売日: 2008/09/01
  • メディア: コミック




一言で言うと「惜しい!」作品。

嶋は新しい会社へ出社した日、二日酔いの男とエレベーターで一緒になる。
酒臭いは、(風呂も入っていないから)いろいろ臭い・・・第一印象最悪の男は
新しい上司の外川だった。
無遠慮でとぼけているようだが、頼りになり、さりげない優しさもある外川。
ゲイである嶋は外川に惹かれながらも、過去の恋愛で傷つき、一歩を踏み出す事が出来ない。かといって離れる事も出来ない。
一方外川にも壮絶な過去があり、家族へのあこがれを持つ彼に、嶋は複雑な想いでいる。
二人の恋愛模様です。

人物の描き方もうまい。キャラも表情もいい。
台詞も一コマ一コマの構図もセンスがいい。

何より、ストーリーはよかった。
過去の傷に向き合えず、自身で触れないようにそっと目をそらして過ごしているが、
外川との関係が深くなる程、傷を思い出し、時々嶋が身を固くするのが切ない。
結局、嶋はそこから逃げ出してしまうのですが・・・
タイトルの「どうしても触れたくない」は嶋自身の心情に思う。
外川はすべてを知ってもなお関係を進めようとしているのに・・・
説明的ではないが、細やかな心情が描かれていて、心温まるいい物語でした。

が、しかし!
この作品,BLの分野じゃ評価が高い一方で「伝わって来ない」「わかりづらい」と批判の声も多い。

原因はマンガらしい表現方法があまりとられていないせいだと思いますよ。
説明的でない分、全体の視覚的な効果でもっとしっかり伝えた方がいいと思いました。

コマ割りとか、背景で表す心情表現とか、スクリーントーンの多用しすぎとか・・・そういうものだと思うのです。(専門的な事はわかりませんけどね。)

1コマ1コマは綺麗で構図もよく、センスを感じるが、引いて全体を眺めると、単調で、一目でわかる視覚的な情感みたいなものが、薄いのです。
1コマの絵を、1枚づつ見て、読んで行けば、それなりに感じるものがあるが、パラパラめくって読むと何が言いたいのか?わからなくなってしまうのです。

ヨネダコウ作家は同人誌界では有名人のようです。

まあ、同人誌で有名なら、経済的に困らないだろうから、いいのかな?こんなもんで。
BL専門誌というのは小学館や集英社といった大手出版社ではないと思うので、きっと編集者のレベルもあまりよくないのかもしれません。だってこんな明確なウィークポイントは編集者が教えてやればいいじゃん!と思うし、もしかしたら、小さな出版社だと、ページ数が増えても困るから、コマ割りは細かく分割して、なるべく少ないページで収まるようにしているのか?

なんてぐるぐる考えて納得しようとしてみるけど、
魅力的で、センスや才能を充分持っていて、成長幅もありそうなのに、本当に惜しいと思います。

残念です。

とはいっても、わたしの大好きな吉田秋生もデビューして20年位は、マンガらしい表現が上手に出来ない作家でしたが、「BANANA FISH」や「YASHA夜叉」あたりから、急激に上手になってきたから、まあ、今後よくなるかもしれないな〜と期待はしています。ガンバレ![グッド(上向き矢印)]
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。