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「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」水城せとな [水城せとな]

BLって読みますか? 
わたしはマンガの受け手としては、雑食のため読みます。
同性愛にもエ○にも抵抗はないです。大体、オタクの端くれやってたら、一度は通りますよね。

わたしの時代だと、「アナザーカントリー」とか「モーリス」とか・・・そういう映画観たし、マンガだと「風と木の詩」「トーマの心臓」「日出ずる処の天子」「エロイカより愛をこめて」とか・・・年がばれる。笑
ベルバラだって、男として育てられた女の子なんてのも、性倒錯のはしりだし、少女マンガの世界では結構当たり前に存在する世界。
嫌いではないです。

しかし、「同性愛」とか「少年愛」とか言ってた時代と違い、「BL」などという少々親しみやすい言い方になってからは、少女マンガの一分野、一設定という感じでなく、専門誌も沢山あり、そういうものを特別好む読者も増えているよう。しかし、実態は一般商業誌でやっていける程のちゃんと描ける作家は少なく、残念ながら同人誌の延長上としての存在でしか無いように感じます。

というか!
例えば昔は、JUNE(1970年後半に創刊の女性向け同性愛マンガ、小説の雑誌。現在も存在するが大分趣が違う)とかには、竹宮恵子が表紙描いたり、中島梓(栗本薫)とかも記事かいてたりして。一般誌で一流の人が描いてたわけですよ。中にはそういうの専門に描いてた人もいるけど、別にエ○なしでも、読者の心をちゃんとつかめる作品を描ける人たちが、そっちでも描くって感じだったのに。それが今のBL専門の作家はレベルはひどすぎると感じています。
(中にはちゃんとした作家も中にはいると思うけどね。クオリティの高いマンガがあるなら、教えてほしい。)。

前置き長かったけど、これは凄いぞ!と思ったのが、この作品[黒ハート]
「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」
2004〜2008年にNIGHTY judy、judy、モバフラに掲載。

窮鼠はチーズの夢を見る (フラワーコミックスアルファ)

窮鼠はチーズの夢を見る (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 水城 せとな
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/05/08
  • メディア: コミック




俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)

俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 水城 せとな
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/05/08
  • メディア: コミック


厳密に言うとBLというジャンルではないのかな?
というのは作者の水城せとなは、少女漫画家である事と、掲載雑誌は「Judy」というレディースコミック誌。本屋に行けば、普通に少女マンガコーナーに置いてありますしね。
但し内容は男同士の恋愛模様。BL愛好者達からも評価が高い。わたしにとってこれはBLの数少ない名作と思っています。

妻帯者の恭一は浮気調査を妻から依頼されたという大学の後輩今が瀬と再会する。浮気をネタに男同士の関係を迫られ・・・。という話なんだけど・・・
男同士の関係も具体的で詳細に描かれているし、心象表現も深く掘り下げ、読んでいて共感と嫌悪感とで、ぐらぐら揺さぶられます。

愛とは、恋とは、セ○クスとは、暮らし、伴侶とは・・・考えさせられました。
異性であれば、ハナから別の生き物なので、うやむやなままでも成り立つのに、同性であるがゆえの共感が時に心地よく、時に残酷にえぐり、傷を深くします。

この恋愛を通して、主人公は成長して行きますが、相手は駄目になってく感じ。
こうなると、どうしても主人公に責任とってもらいたくなってしまいます。
お互いに、底までトコトン掘り下げ、むき出しのエゴのぶつけ合い・・・途中では、どこに終着点があるのか不安になりました。とりあえずの収束をむかえ、終わります。

ここまで読むと、読んでない人はおびえてしまうかもしれないけれど、読み終わると不思議と清々しさを感じる作品です。
広く読んでもらいたい作品です。男性にも。
あくまで女性作家の描いたフィクションですから、同性同士の恋愛として、どこまでリアリティがあるのかは知りませんが、リアルに感じ、面白かったです。不思議と女性心理が描かれているようにも思えます。

水城せとなは、1993年デビュー。わたしがマンガから離れていた頃に出て来た作家みたいですね。だから、最近まで知らなかったです。
他「放課後保健室」「失恋ショコラティエ」も読んでいます。こちらは少女マンガですが、なかなかの才能です。
深層心理を引きずり出し、ある種残酷なえぐいマンガかもしれませんが、絵がきれいなのと、台詞が洒脱で、ギャグテイストがちりばめられていて、かなり達者な描き手だと思います。

今、一押しの漫画家です[黒ハート]
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